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実績ご紹介/スタッフブログ 古い会社案内を読み解くシリーズ②「宣傳印刷物に就て」

古い会社案内を読み解くシリーズ②「宣傳印刷物に就て」

古い会社案内を読み解くシリーズ①」に引き続き、創業当時の会社案内の内容を読み解いてみたい思いからブログにしてみました。

当時(1938年頃・82年前)の会社案内インデックス
・カタログ類の印刷に就て
・宣傳印刷物に就て
・商品附屬の印刷物に就て
・事務用品其他全印刷物に就て
・紙器に就て
から、
2回目の今回は「宣傳(宣伝)印刷物に就て」の内容をお届けします。
いわゆるアドバタイジングデザイン制作です。

【上記が該当ページで以下に原文のままを書き出しました】
(赤字)表示しているものは現行の仮名であったり表意漢字にあたります。
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宣傳(伝)印刷物に就て

ポスター、引札等商業戰(戦)線の突撃隊たる宣傳印刷物は、最も尖銳(鋭)的な立塲(場)にある丈其製作技法も近來(来)一變(変)してきた。然(さ)に世上によく純粹(粋)繪畵(絵画)化した信念を有(も)たないポスターを見うけます、あだかも深窓にオチヨボ口(おちょぼぐち)して内肢に歩む振袖姿のイトはんを連(連)想して “時代におくれて居る” との感じが深い。こゝ(こ)に於て圖(図)案の重大性を感じる、即ち『眼立つ』と云ふ(いう)事である、然(しか)し宣傳印刷物も宣傳の仕放しではなるまい、多くの宣傳印刷物は商業廣(広)告物であるものが多い、然らば次の事柄が必要となつ(っ)て來る。即ち『興味を持たせる』『欲望の喚起』と云ふことを重要とします。
故によりよき完全なものを製作せんとするには其技法は只圖案家の腕にのみ待つものではありません。廣告寫眞(写真)専門家と印刷専門家の三者(者)の合作により始めて立派なものが出來るのであります。當社(当社)に圖案と廣告寫眞の二つの部門を有する事が即ちこれであります。
一枚の手札型寫眞に見た繪(絵)が非常に好く感ぜられても、それを四六判半截(せつ)位のポスターに引伸して必しも、同じ樣(様)な効果を納め得るものではない、と云ふことが、印刷にかゝ(か)る前に、先づ寸法を考へ(え)てから構圖を考へなかつ(っ)た失敗であると云ふ理由が即ちこれであります。
この大きさと云ふ事は印刷術にも甚(はなは)だ影響の多いもので、グラビヤやオフセツ(ッ)トは何處(処)か軟弱で迫力に乏いが面積の大なるもの、自然味を多分に必要な部類には最適で、色調の變化に富み、版の耐久力も强(強)く、少數(数)の印刷度數で紙質粗惡(悪)な紙面に優美な印刷が出來る爲(為)、多量のものは印刷費が割安と云ふ特點(点)を持つ。非常に精(精)巧なコロタイプ版は版が弱くて數量の多い物には不適な爲、繪葉書類の如(ごと)きもの位を刷るより他に用途は少なく、網目版(寫眞版)は其スクリーンの目の密なものは鮮明で力强い繪が割合簡單(単)に刷れる秀でた特徴がありますが、アート紙等の上質紙に限り精巧なものが得られるので、他に版畵の餘(余)りに面積の大なるものには不向であると云ふ缺(欠)點もあります。
この爲に宣傳印刷物は特に刷部數、版畵の種類大小紙質等印刷術各々の長所、短所を考へての立案こそ望ましきものであります。
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以上が原文です。
(「半」、「平」などが含まれる昔の漢字は、「ソ」の部分が「ハ」ですが、WEBのフォントでは概ね置き換えられます。「銳=鋭」のように置き換わらないものもあります)

【現代風に読み解きますと】
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宣伝印刷物について

ポスター、チラシなど商業戦線の最前線である宣伝印刷物は、最も尖鋭的な立場にあるだけにその制作技法も近年変わってきました。世の中にはそのままで信念をもたないポスターを見かけます。まるで良家のつつましく内股で歩く振袖姿のお嬢様を連想して“時代に遅れている”風に見えます。ここでグラフィックデザインの大切さを感じます。要は『目立つ』ということです。しかし、宣伝印刷物も宣伝のし放題ではいけません。多くの宣伝印刷物は商業広告物であるものが多く、『興味を持たせる』『欲望の喚起』などが必要となってきます。
よい宣伝印刷物を制作しようとする技法は、ただグラフィックデザイナーの腕だけではありません。フォトグラファーとプリンティングディレクターの三者の合作によって初めて立派なものができます。当社はグラフィックデザインとコマーシャルフォトの二つの部門を持っていることで、それが可能になります。
一枚のサービスサイズの写真で見たとき非常によく感じても、それを四六判半裁(B2)位のポスターに引伸して、必しも同じような効果が得られるものではないということが、印刷する前に、先に寸法を考えてからデザインを考へなかった失敗であるという理由がこれです。
この「大きさ」は印刷技術にも影響が多く、グラビア印刷やオフセット印刷は、どこか軟弱で迫力に乏しいが、面積が大きく自然味を多分に必要なポスターには最适で、色調の変化に富み、版の耐久力も強く、少数の印刷度数で紙質粗悪な紙面にも優美な印刷ができるため、多量のものは印刷費が割安という特点を持ちます。一方、非常に精巧なコロタイプ版(※1)は版が弱くて数量の多い物には不適なため、絵はがきの絵はがきようなものを刷るより他に用途は少なく、写真版はスクリーンの目の細かいものは鮮明で力強い画像が割と簡単に刷れるという優れた特徴がありますが、アート紙等の上質紙に限り精巧なものが得られるので、逆に面積の大きなものには不向であるという欠点もあります。(※2)
このために宣伝印刷物は特に刷部数、画像の大きさ紙質等印刷技術の長所、短所を考えてのプランニングこそ望ましいものであります。(※3)
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今回も意訳し過ぎの部分もあると思います。
特に「あだかも深窓におちょぼ口して内肢に歩む振袖姿のイトはんを連想して “時代におくれて居る” との感じが深い。」というくだりは、当時の流行などが含まれていると考えられるため間違えているかもしれません。イトはんて(笑)

(※1)コロタイプ版:ゼラチンに重クロム酸塩などを添加した感光液を、支持体である厚ガラス版(7~10mm)に流布して加温乾燥した版で、アミ目スクリーンではなく微細なシワで階調を安定させるという150年前から伝わる印刷技法です。
(※2)現代の印刷技術ではこの様な欠点はありません。
(※3)現代の印刷技術ではこの様な短所はありません。

原文のページ画像をポップアップから高解像PDFでダウンロードいただけます。

では、次回シリーズ③「商品附屬の印刷物に就て」をお楽しみに!

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