古い会社案内を読み解くシリーズ③「商品附屬の印刷物に就て」

古い会社案内を読み解くシリーズ①シリーズ②」に引き続き、創業当時の会社案内の内容を読み解いてみたい思いからブログにしてみました。

当時(1938年頃・82年前)の会社案内インデックス
・カタログ類の印刷に就て
・宣傳印刷物に就て
・商品附屬の印刷物に就て
・事務用品其他全印刷物に就て
・紙器に就て
から、
3回目の今回は「商品附屬の印刷物に就て」の内容をお届けします。
タイトルだけで近年の当社制作物で鑑みますと、なんとなく商品同梱の取扱説明書的な印象ですが、読み解いてみると、いわゆる商品のパッケージ箱やラッピング紙、シールなどです。
昔はパッケージなども自社工場での取扱品目にありました。

【上記が該当ページで以下に原文のままを書き出しました】
(赤字)表示しているものは現行の仮名であったり表意漢字にあたります。
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商品附屬(属)の印刷物に就て

人間の着物が色々の意味をもつ樣(様)に、レツ(ッ)テル、包紙、容器等總(総)て商品に附屬(属)する印刷物にも重大なる使命のある事は勿論であります。商品の保護と其價(価)値宣揚(せんよう)に第一義的關(関)心を拂(払)はねばならないけれど、一々(いちいち)商品の原價に含まれるものなれば、宣傳(伝)印刷物の樣に一時的に一方的にのみ考へられざる爲(為)、其(その)使用數(数)量に應(応)じて毎回の製造數量と單(単)價と其材料の關係を經濟(済)的に考慮して適當(当)な印刷方法を講ぜねばなりません。
故に大体一般的に只、量からのみ考へた塲合、小量なものは活版機、石版機により大量のものはオフセツ(ッ)ト機を使用するのが普通ですが、これとて印畵(画)の構圖(図)によりては絕對(絶対)的のものに非ざる事前頁に述べた通であります。
用紙も相當多量に費す塲(場)合は、希望通りのものを製紙會社(会社)へ別漉(すき)注文をする事が、品質を一定にする事、價格を合理化する事、他に類似をせらるゝ虞少(ぐしょう)なき事等の爲是非御記憶願ひ(い)(た)ひと思ひます。これ等の印刷物は其種類が多岐多樣にわたる丈(だけ)本尊の商品のもつ使命を充分に發(発)揮せしめるには、工塲内に於ける各種印刷の連絡が、刷上時間と刷上げ後の出來榮(来栄)に重大な關係のあるものであります。
一向社(社)の全從(従)業員には只に印刷技術の進歩向上に研鑽練(練)磨せしめるのみに非ずして、御得意樣の商品に對しても其商品としての常識的な知識をもたしめる樣に敎(教)練して居ることで、印刷所としての印刷でなく、御得意樣の印刷所と云ふ意味の信念を深く涵養(かんよう)せしめんとするこの當社の態度は、御得意樣に如何に忠實(実)なりやの絕對意識の發(発)露であります。
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【現代風に読み解きますと】
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商品付属の印刷物について

人の着物が色々の意味をもつように、ラベル、ラッピング紙、パッケージ箱など総ての商品に付属する印刷物にも大きな役割があります。商品の保護と商品価値を上げることに根本的な関心を払わなければなりませんが、常に商品の原価に含まれるものなので、宣伝印刷物とは違って、ロットに応じて毎回の製造数量と単価とその材料の関係を経済的に考慮して見合った印刷方法を考えなければなりません。
一般的に数量だけを考えた場合、少量なものは活版機、石版機を使用し、大量のものはオフセット機を使用するのが普通ですが、これもデザインによっては限定される物ではなく、前の項目で述べた通です。
用紙も相当多量に使用する場合は、希望通りのものを製紙会社へ別漉(すき)注文をする事が、品質を一定に保つこと、価格を合理化すること、他に類似しないように熟慮しますので是非ご記憶願いたいと思います。これらの印刷物はその種類が多岐多様にわたるだけ、大切にすべき商品のもつ使命を充分に発揮させるために、工場内に於ける各種印刷の連携が、刷上時間と刷上げ後の出来栄えに大いに影響するものです。
一向社の全従業員は、単に印刷技術の進歩向上に研鑽練磨させるだけでなく、お得意様の商品に対してもその商品としての常識的な知識を学習していることで、印刷所としての印刷でなく、お得意様の印刷所という意味の信念を背伸びする事なく身につけていく当社の態度は、お得意様の要望にいかに忠実であるかの絶対意識の表れです。
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現代ではあまり使われていないような熟語
宣揚「=(せんよう)はっきりと世に示してそれを盛んにすること」、第一義的「=第一に考えなければならないさま」、本尊「=大切にすべきもの」、教練「=教えならすこと」、涵養「=無理のないようだんだんに養い作ること」、発露「=心の中の事柄が表にあらわれ出ること」と意訳してさらに現代風に置き換えています。

原文のページ画像をポップアップから高解像PDFでダウンロードいただけます。

では、次回シリーズ④「事務用品其他全印刷物に就て」をお楽しみに!

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