古い会社案内を読み解くシリーズ「最終回」

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古い会社案内を読み解くシリーズブログもいよいよ最終回となりました。

古い会社案内を読み解くシリーズ①」に引き続き、創業当時の会社案内の内容を読み解いてみたい思いからのブログもいよいよ最終回となりました。


最終回は、当時(昭和13年/1938年頃・82年前)の会社案内の最終ページにある「校正記號」(おまけ)と「一向社のPR」ページです。
(赤字)表示しているものは現行の仮名であったり表意漢字にあたります。
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校正記號(号)
 訂字 →(文字を訂正する)
 除字 →(文字を除く)
 注意 →(注意する)
 上下 →(上下入れ替える)
 詰る →(字間を詰める)
 送り →(改行をやめて続ける)
 挿入 →(文字を挿入する)
 磨滅又は疵(きず) →(活字がすれて潰れていたり傷がついている)
 消字 →(文字を消す)
ɤ  顚(てん)倒 →(活字が逆または寝ている)
 開く →(字間を開く)
 並列 →(文字の並びを整える)
 空字 →(1字分空ける)
ϑ 削り去れ →(活字の一部を削り取る)
 差換へよ →(文を差し替える)
 字間を附せ →(行間を増やす)
 右方に移せ →(右に移す)
 左方に移せ →(改行して左に移す)
w.f. 不揃なり →(不揃いを正す)
 上げて平坦にせよ →(上げて揃える)
 下げて平坦にせよ →(下げて揃える)
 無體(体)裁注意 →(体裁が悪いので注意)
 何故か →(なぜか説明を求む)
out 脱出缺(欠)字あり原稿を見よ →(欠落部分を原稿で確認)

※当時の校正記号は縦書き特有のものもあったようです。
※赤文字記号は見た目なので実際と違うものもあります。(Sはミラー反転)
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如何なる印刷所を選ぶべきか?
一向社こそ然り!!!



漫文(まんぶん)

世に印刷業と稱(称)するものに二種あり
(いわ)く、きれいな紙をインキでよごす業
曰く、文化の使命を完全に果す業
一向社は後者に属す


眞實一向有天籟響

■設備完全、經營(経営)の堅實(実)なる工塲(場)
一口に印刷、紙器工場と云へ(いえ)ど、色々の特徴と部門に分れて居るものです
一向社は印刷、紙器、全般に渉り、充実せる総(すべて)の設備を有して居ります

■ 不斷(断)の努力と硏究を怠らない工塲
如何(いか)に創業は古くとも老朽した工塲、又經驗(経験)の淺(浅)き工塲は共に駄目です
一向社は創業以来十六年を経て、斯(その)業に對(対)し充分の熱意をもつ工塲です

■ 信念を有し、責任觀(観)念の强(強)き工塲
営利事業なりとて只(ただ)、儲け本位で斯業の使命を辨(弁)(え)ぬ工塲では駄目です
『我利本位、頽廢(退廃)思想芟除(さんじょ)』と一向社は大聲(声)に叫んで居ります

■ 餘(余)りに大ならず、餘りに小ならざる工塲
餘に大工場は、兎角(とにかく)一部門に偏し、曰(いわ)ゆる小廻りが利かず
小工場では、設備不完全で、急のもの、多量のものも間に合ひ(い)ませぬ


▲ 新にフォーム御作成のときは御遠慮なく御相談下さい
當社(当社)は斯業者の一責任として經濟觀念(経済観念)上無駄なき適當なフォームを無料或は實費を以て立案御撰定申上ます

▲ 前もつ(っ)て豫(予)算の出來(来)ざる印刷物等も御安心の上御任せ下さい
當社は能率よき工塲として主義として相當なる製品と値段を以て終始致します

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【現代風に読み解きますと】
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どのような印刷会社を選ぶべきか?
一向社をお選びください!!!



風刺をまじえた文

世の中に印刷会社と呼ばれるものは2種類あり
1つは、綺麗な紙をインキで汚す会社
1つは、文化の使命を完全に果たす会社
一向社は後者に属する


真実に一向すれば天籟の響き有り


■ 工場設備は完全、経営の堅実な会社
一口に印刷、紙器会社といえども、様々な特徴と部門に分れています
一向社は印刷、紙器、全般にわたり、充実した設備を持っています

■ 継続する努力と硏究を怠らない会社
いかにに創業は古くでも老朽した工場、経験の浅い工場ではどちらもに駄目です
一向社は創業以来十六年を経て、その仕事に対し充分の熱意をもった会社です

■ 信念を以た、責任意識の強い会社
営利事業ではありますが、ただ儲け本位で、仕事の使命をわきまえない会社ではありません
『自社の利益本位では、退廃思想を刈り取る』と一向社はとなえています

■ あまりに大きくなく、あまりに小くない会社
大きな会社は、とにかく一部門に偏って小廻りが利きません
小さな会社は、設備不完全で、急ぐもの、多量のものもに対応できません


▲ 新たにお見積作成のときはご遠慮なくご相談ください
当社は業者の責任としてとして、経済観念上無駄のないお見積を無料または実費で立案申し上げます

▲ 事前にご予算がわからない印刷物等もご安心の上お任せください
当社は能率のよい仕事主義として、ふさわしい製品と価格で対応いたします

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以上、会社のPR部分を独断と偏見で読み解いてみました。
文体が結構大胆で、今となっては最後に(笑)と付けたくなりそうな恥ずかしい表現や、誇大表現がありますね(笑)
当時から設備などは大きく変わっていますし、業務内容も変わっていますが、当時も今も変わらないのは「少数精鋭」で業務していることでしょうか(?)

6回にわたって続けた「読み解く」シリーズいかがでしたでしょうか?

原文のページ画像をポップアップから高解像PDFでダウンロードいただけます。

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この記事を書いた人

ターニャPROFILE
グラフィックデザイナーを目指して入った学校ではまだDTPもWEBもない時代。
一向社の制作部に入って数年後に仕事でMacの存在に触れ、会社で初めて使ったPCはMacintosh IIfx(ツーエフエックス)。その後は端折ってなんやかんやで社内では年長者になり、現在もなおツールの進化とアプリの進化にOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)中!笑。
現在の専門はWEBと映像編集など。
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